日々雑感

心に浮かぶよしなしごと

松下純 ~これからも縦横(音)無尽に~

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photo by 雨(@ametowatashi)


「求められると降らないんですよ,ほんと(笑)」
 雨が降ってる中,傘さしてるジュンちゃんを撮りたいと,カメラマンと2人企画していたのだが,前日の大雨とは打って変わってよい天気になっていた。
 彼の周りにはいつも「人」がいる。それこそが彼の魅力の証なのだと思うのだが,一方で,,ただ,僕は彼がいったいどんな人なのか,わかっているようでわかってないのではないか。最近になって,そんな風に思っていた。だから彼の話が聞きたくなった。
 話していて思った。どうであれ,やっぱり僕はこの人が大好きだ。それだけでいいんだ。


◆「なんじゃこれ!めっちゃかっこいいやんけ!」ってピンときたんですよね。

 

― いつも雨だよね(笑)

もうほんとに!自分の自主企画『縦音無尽』も36回中30回雨。最近,どこかに出かけると,行き帰りだけ雨降ってびしょぬれになったり,みんなでBBQしたときには,「乾杯~!」ってした瞬間大雨降ってきたり。ネタとしては面白いけれど,ちょっとね…ってなりますよね。最近では,雨降らないと逆に「雨降ってないじゃん!」って怒られたりして,なんだかなぁって感じです(笑)

 

― バンドをやるようになったきっかけは?

自分ではじめて買ったバンドのCDって,高2のときに買ったGOING STEADYの「童貞ソーヤング」だったんですよ。パンクとかはちょっとな…って避けてたんですけど,なんとなく興味を持って,オナニーマシーンイノマーさんが編集長をしてる『STREET ROCK FILE』の創刊号からずっと買ってたんです。付録みたいな感じでインディーズのバンドのCDが入ってるんです。それが楽しみで。そのCDの中で,GOING STEADYの『東京少年』って曲を聞いたときに「なんじゃこれ!めっちゃかっこいいやんけ!」ってピンときたんですよね。

  

― イノマーさんを通して世界が広がった。

本当にそうなんですよ。だから,去年の縦音無尽vol.36にオナニーマシーンに出てもらえたっていうのはめちゃくちゃ嬉しくて。17歳の,高校2年生の俺に,「お前が今雲の上のように感じてる人と同じステージに立つ日が来るぞ」って自慢してやりたいですね。

 

◆ 長いこといますけど,ケンカってしたことないんですよ。

 

― スケキヨとは付き合いも長いんだよね?

中学,高校の同級生なんですよ。でも,お互い存在は知ってましたけど,はじめてしゃべったのは高3のときなんです。STANCE PUNKSのライブでたまたま会って,「え,こういうの好きなんだ!」って。その頃は「松下君」「脇山君」って呼び合ってましたね(笑)そこから一気に仲良くなって,もう週8一緒に遊ぶぐらいでした(笑)


― どんだけ仲良しなんだよ(笑)

でも,その反動なのか,しらばく2~3年連絡取らなかった時期もあったんですよ。で,たまたま先に東京に出てたスケキヨが地元に帰ってきてそれで地元の友達みんなで飲もうってなって。そんときに俺が東京行くって話を聞いたら「バンドやろうよ!」って誘ってくれたんですよね。


― それがバイタル結成につながるんだ。

はい。でも,おれ,バンドはまったくやるつもりなかったんですけどね。あいつ,あんまり人のことほめたりしないタイプだと思うんですけど,なんかそのときはやたらとほめてくれて。「ジュンちゃんはフロントマンに向いてる!」とか(笑)。で,上京するときに「ジュンちゃんトランペット忘れずにもってきてね!」とか言ってきて,で,トランペットボーカルってことになりました(笑)


― 2人見てるとうらやましいくらい仲いいもんね。もめたりはしないの?

長いこといますけど,ケンカってしたことないんですよ。バイタルはリーダーがスケキヨなんですけど…

 

― あ,リーダーってスケキヨなんだ!おれ,ずっと勘違いしてたかも。

そうなんです。あいつがきっかけではじまったバンドなんで。ある意味では自分はバイタルではマネージャーみたいな感じだと思ってます。面倒くさいことは全部俺が引き受けるから,お前はいい曲かいて,いいライブしろってあいつには言ってる感じですね。


― 美しき友情(笑)

(笑)。まあ,でも,なんだかんだ言ってもやっぱり大きなきっかけを作ってくれた。あのときスケキヨがバンドに誘ってくれなければ,ライブハウスで働くこともなかったし,企画なんてやることもなかったし,DJだってたぶんやってなかったでしょうしね。そういう意味ではあいつには感謝してます。普段絶対そんなこと本人には言わないですけどね(笑)


― いいバンドになれてるんだろうね。

今のバイタルは本気で最強だと思ってます。タケのドラムは心から信頼できるし,タマちゃんのベースが底をしっかり支えてくれる。2人がいてくれてこそのバイタルだし,これまでを支えてくれた元メンバーやサポートしてくれた人たちも,みんなに感謝しています。

 

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photo by 雨(@ametowatashi)

 

◆ とにかく大変だったけど,めちゃくちゃ楽しかった。

 

― 『縦音無尽』がはじまったのはどういうきっかけ?

バイタルがその後活動休止になって,スケキヨはソロでも弾き語りをはじめて,俺も何かやらなきゃな,って思ってたとき,友達のライブで遊びに行ったのがアウトブレイクなんですよね。そのライブみながらふと,「自主企画とかやって好きなバンドを呼んだらおもしろいのかな」と思って。考える前に行動かなって,その場にいたbooneさんに相談したら「おお!やろうよ!やろうよ!」って言ってくれて。もともとはあの企画はアウトブレイクとの共同企画って形で始まったんです。


― そのあとアウトブレイクでブッキングとして働くわけだけど。大変だった?

はい(笑)。もう死ぬ思いでやってましたね。ブッカーあるあるかもしれないけれど,常に誰かに連絡して,誰かから連絡が来てる状態。もう電話も,メールも,ラインも,twitterも,常に何かが鳴ってる(笑)。バンドマンってそもそも生活が不規則だからもう朝から夜までずっと。大晦日あけて元旦の朝4時に「この日のブッキングお願いします!」って連絡がきたり(笑)。「あれ,あの人に連絡したっけな」「あのもらってた返事返したっけな」って,とにかくずっと追われてる感があるので精神的に結構疲れる時があります(笑)。でも,ブッキングが決まった時は,好きな人に告白してOKもらえたくらい嬉しいんですよ,本当に。


― アウトブレイクというライブハウスについてはどう思ってる?

もう感謝しかないですよね。ここでの経験,出会えた人,みんなに感謝です。とにかく大変だったし,アウトブレイク「らしい」変わったイベントも,もう右も左もわからない中で右往左往してたけれど,それは絶対アウトブレイクじゃなきゃ経験できなかったし,とにかく大変だったけど,めちゃくちゃ楽しかった。 

 

― 学ぶことがたくさんあった?

ほんとに。中でも一番印象に残ってるのは,booneさんに言われたこと。「ここはディズニーランドと一緒。俺らが呼んだバンドも,バンドが呼んだお客さんも,全員が不快な思いをせずに楽しませなきゃいけない,その責任がある。常にお客さんの気遣いをしろ」って。これがアウトブレイクの一番の根幹にある。booneさんはもちろん,それがスタッフ全員に徹底されてる。だからこそのアウトブレイクなんだって思いますしね。

 


◆ みんなの溜まり場。そういう場を作りたい。

 

― でも,やはりそこを離れる決断をしたのはなぜ?

アウトブレイクにはなんの文句も不満もなかったんです。大変だったけど(笑)。でも,30歳を超えて,一生このままライブハウスでやっていくのかって振り返ったときに,それは違うぞってなったんですよ。


― 自分の「やりたいこと」が見えてきたんだ。

「自分の店」を構えたいっていう思いが強くなったんですよね。自分の「軸」として。それはライブハウスとかではなくて,みんなの溜まり場。そういう場を作りたい。そのためには勉強しなきゃいけないことがある。でも,アウトブレイクをやりながらその準備はできない。そう思ったときに,違う一歩を踏み出さなきゃなって思って。

 

― 僕はどうしても「スタッフ」側としてのジュンちゃんとの付き合いが長いんだけど,その見方が変わったのがオワリズム弁慶でトランペットを吹く純ちゃんを見てからでした。オワリズム弁慶に加入した経緯は?

オワリズム弁慶は,知り合いのバンドマンから紹介してもらったのが最初でしたね。ただ,そのときはバイタルも活動休止中だったからトランペットもあんまり吹いてなくて,アウトブレイクのブッキングの仕事も忙しかったからすぐには「やります!」とは言えなくて。とりあえずライブを観にいくことになったんです。下北のMOSAiCでした。最初の印象はたぶんほとんどの人と同じで,「なんじゃこりゃ!?」ですよ(笑)。あんだけたくさんの人が一度にステージに乗ってるのに,全員がプロ意識が高くてレベルも高い。ビビりましたね。そのままメンバーに「ぜひサポートとしてやらせてください!」って言いに行きました(笑)


― たしかに,僕もはじめてオワリズム弁慶みたときは「なんじゃこりゃ!?」だった(笑)

何回かサポートでステージに立たせてもらって,メンバーになるのもアリかなと思い始めた矢先にリーダーからすごく長文の嬉しいラインをもらったんですよ。どうしようかと考えてたんですけど,ちょうどそのときにアウトブレイクでやる最後の縦音無尽にオープニングアクトとしてオワリズム弁慶に出てもらったんです。そのときに,リーダーだけじゃなくて,メンバーのみんなが僕を前へ出してくれたり,盛り上げてくれたり,とにかくみんなの「愛」を感じた。これはやるべきなんじゃないかって思って,その日にリーダーに「よろしくお願いします!」って言いました。

 

― そして一番の謎が「J会」。写真みるといつも柄悪い感じだけど(笑)

J会はファミリーみたいなもんですよね。僕がきっかけになって作っただけで,みんな平等なんですよ。本気で信頼できる一生付き合っていける仲間。そういうつながりを大事にしていきたい。今,ケンちゃんは実家のある愛知に戻ってるし,みんなそれぞれに忙しいからなかなか「全員集合!」ってすぐに集まれるわけではないけれど,でも,何かあればすぐ駆けつける,駆けつけてくれる仲間がいるって,すごく嬉しいですよね。


― すべてジュンちゃんの人柄なんだろうなって思うよ。最後に一つ。もし戻れるとしたら昔に戻りたい?

自分が昔想像してた33歳とはまったく違う33歳の自分になりましたけど,昔に戻りたいとは思わないですね。昔は昔で一生懸命だったし,楽しかった。でも今が一番。ほんとに周りのみんなに支えられてるな,って思う。幸せですよね,俺。

 

 

◆編集後記◆

久々にジュンちゃんと長いこと話しました。お互いのことをよく知ってるからこそできたインタビューなわけだけど、でも、話せば話すほど僕の知らないジュンちゃんが顔を出してくる。それが面白くて、また話を聞きたくなる。そんな感じでした! 完全版には、ここに載せきれなかったエピソードも入ってるので、ぜひ生誕祭当日、冊子をゲットしてもらえれば嬉しいです!

 

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photo by 雨(@ametowatashi)

 

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